体の痛みや緊張感は、
突然どこからともなくやってくるわけではありません。
体のシステムが、どこか、何かが本来のように働いていないと伝えているのです。
人間の生活が、デスクワークや電車での移動中心となり
自然から遠ざかるにしたがって、その身体感覚が貧しくなっていることを
アレクサンダーは観察し、著書に書いています。
身体感覚が貧しくなると、自分では「まっすぐ立っている。」
と感じていても、その感覚をあてにすることができません。
上の写真の右側は、よくみられる立ち方ですが、
腰(下腹部)を前に突き出し、そこで体重を支えるようにして
立っています。
この状態では、本来体を支える仕事をしなくて良い筋肉が
余分に働かなければなりません。
たとえば、腰や膝に余分な負担がかかり、
腰痛や膝の痛みが発生しやすくなります。
アレクサンダー・テクニークのレッスンでは、
体本来の、重力に対抗してすっと上に向かうような
体のバランスを取り戻して行きます(写真の左側)
その過程で、上の腰や膝のように、余分な負担のかかっていた
体の部位が解放され、
緊張・痛みが減って行きます。
体の良いバランスを取り戻して行く過程で、
身体感覚も本来の状態に近づいて行きます。
*疲労の軽減
体を効率よく動かすようになるので、
同じ動作をしても疲労の度合いが減ります。
もっとやりたいことにエネルギーを使えるようになります。
*パソコン等デスクワークにおける眼精疲労や首の痛みを改善。
パソコンを使ったり、物を書いたりするときは特に、無意識のうちに首を前に押し出して負担をかけているものです。
首・頭そして全身の良い関係性を学んでいくにつれ、
胴体を安定させて座れるようになります。
そうすることで、首の緊張や、眼の過度な疲労を改善できます。
*楽器演奏時に
楽器を演奏する人にとって、自分自身をどのように使うかは大きな要素です。
楽器演奏時に体に痛みや緊張を作ることを避けることができます。
さらに、余分に力が入らないことで、豊かな音色や表現につながっていきます。
*声を使う
アレクサンダー自身が声に問題を生じたところから
このメソッドの開発に至りました。
首の緊張、そして頭の押し下げは、自然な息の流れを妨げます。
これをやめていくことで声が出しやすくなります。
歌を歌うことや、声を使う仕事をしている方に役立ちます。
*スポーツや武術・ヨガ
無意識に首を緊張させていることは、
知らずにブレーキを踏みながら車を運転するようなもの。
体の滑らかな動きをどこかで邪魔しています。
ブレーキを外していくことで、望む動きを行いやすくなり、
瞬発力や、耐久力、関節の動かしやすさ・・が得られます。